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2006年 04月 10日
森林管理とは? 密度管理のお話
森林管理って何するの?
って、難しい質問。

まず、苗木を植えて育てるなら、苗木を育てて、それを植えて、ある程度大きくなるまで、毎年草刈をしたり、ツルを切ったりする必要がある。人工林なら植えて数年は必要で、これは「育成」といってみる。大きくなると重要なのが、「密度管理」。これが今日の話。そして、最後に伐採して、搬出する作業がある。

密度管理とは、その名のとおり、その土地に育っている木の密度を管理すること。
あんまりにも、密度が低すぎる(=空きすぎ)のも、高すぎる(=混みすぎ)のも問題である。
だから、空きすぎず、混みすぎずに管理する。
具体的には、多めに植えておいて、徐々に伐っていく(これを間伐という)ことになる。
それで、戦後の拡大造林(参考)で大量に植えられたスギ・ヒノキ林の多くが今、混みすぎて問題視されている。





そうすると、密度管理とは、「これ以上混んでは困る」という上限と、「これ以上空いては困る」という下限を決め、それぞれの指標を決めて、その範囲ないにとどまることになる。
指標としては、樹齢、樹高、胸高直径(胸の高さの直径)、断面積合計(胸高直径での円の面積の、ある範囲ないでの合計)などが使われる。
そして、地域によって、 これらの方法は多様である。

例えば、吉野の場合(これは研究室の先輩の研究より)、年輪を一定に保つ、ということを至上命題にしている。
ちょっと想像してもらうとわかるが、木というのは、伐採後の周りがオープンな状態で植えられることが多いので、小さいときのほうが太りやすい。
この辺は、人工林の切り株をみるとわかる。真ん中ほど年輪幅は大きいはずである。
ちなみに、天然林の場合はそうではない。なぜなら、小さい頃は、すでに木が生えて周りがオープンでなく、光の少ない環境で育ってきたからである。天然木は価値が高い理由はこの辺りにある。

そんなわけで、その太り具合を一定に保つ(=年輪を一定にする)為には、小さいとき混んでいなければならない。だから、吉野では1haに1万本とか植えていた地域もある。(一般的には3000本)
つまり、できるだけ混ませたい。

が、一方で混みすぎると細長になるので、雪が降ると重みで倒れてしまう。よって、吉野ではおおむね、積雪量が多いほど密度を低くし、少ないほど高くする、という傾向がある。

一方、近年、間伐遅れ解消を目的として提唱している、鋸谷(おがや)式間伐(こちらも研究室の友人のテーマ)の場合。
こちらは、近年は山にお金は払えないから、できるだけ手間がかからない(間伐と間伐の間が長い)ことを第一目的にしている。
さきに説明した、昔ながらの吉野式なら、最低5年に1度は間伐しなくてはいけないが、鋸谷式は10年で一度で済むという。

ということは、できるだけ空いた状態にしたい。
が、あんまり空きすぎると、他の木が強くなることや、ツルが入ってくる。鋸谷氏は、経験的に樹冠うっぺい率が50%(つまり、その林を真上から見ると半分は人工林の枝で埋まっている状態)あれば大丈夫であるとし、そのときの断面積合計を測定し、基準にしている。
そして、これは結局、幹の太さ(これによってい一本一本の面積がわかる)と、本数で決まる。

だから、その林での代表的な木の幹の太さを測れば、あとは面積あたりに残す本数が決まる。
鋸谷式のおもしろいところは、釣竿で面積を測るところ。
半径4mならちょうどその円内の面積は50㎡になるわけ。

そして、鋸谷式のもうひとつの特徴は上限を、「雪に負けない」ところにしている点。
それは、鋸谷さんが福井県で森林管理をしており、過去に大規模な雪害にあったことにある。
このとき、徹底的に調査して、「雪に折れないライン」をその木のひょろひょろ具合 (=形状比=樹高/直径)の基準値を求めた。

ところで、今、林業やっている人、そして、間伐をしている人の何人がその間伐の意味を考えているかといえば、おそらく2割もいないのでは?と思ってしまう。
拡大造林では、吉野式を全国に広めた(というより、行政の言う吉野式でないと補助金がもらえなかった)。吉野式は年輪幅を一定にすることを至上命題にしているが、他の地域でそれが必要かといえば、はなはだ疑問だ。

そして、それぞれの地域ではそれぞれの事情にあった(上限と下限の意味合いが違った、そして、それを見る指標も違った)管理があったのであり、それらの上限と下限の意味と、その指標がそれで一番よいかということを、もう一度問い直す必要がある。

さらに詳しい、以前杉良の勉強会用に作ったレジュメを投稿しておきます。

○4月18日 吉野を研究していた先輩よりコメントを頂き、一部編集
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by taiji_nakao | 2006-04-10 08:30 | 山と木材のお話
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