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2006年 05月 29日
そんな山(おか)の上にもあと10ヶ月くらい棲む
ある山に登った人たちがいました。

なかなか高い山で、最初、そこにとうたつした人たちはほんとうに、たかいぎじゅつと、せいしんりょくをもった人たちでした。

そこで、むらの人たちは、その人たちをしょうさんして、
たくさんのものを渡すことようになりました。

やがて、そのやまにはたくさんの人がのぼるようになったのですが、
それでもやはり、昔からのならわしで、村の人はいろいろなものを差し出していたのです。

そこに住みついた、そのひとたちは、いろいろなものを持っていっても、あいさつをしたり、会話をしたりすることはありません。

ただ、黙って、しんみょうな顔をしてうけとるのです。

やがて、村のじんこうが増え、生活がくるしくなってきたので、その山にすむひと全員には渡せなくなってきました。

村長は言いました。

「おらたちの村のものも、もうそんなにたくさんない。
でも、あの人たちに渡すぶんをそう、いきなりなくすわけにもいかない。
ちょっとずつ、へらしていこう」

そういう話があったと聞いた、山に棲むひとたちの中にもようやく、
笑顔で、「ありがとうねえ、今なにか村で困っていることはないかい?」
と、話し出す人もできてきました。

でも、そういう一方で、山にこもり、黙って、何もせず、何も言わず、
そんな生活を続けているひとたちがまだ、
いるんですね。
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by taiji_nakao | 2006-05-29 18:25 | エッセイ
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