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2006年 06月 02日
コアー建築工房 吉瀬さん
 おととい、コアー建築工房へ聞き取り調査に行った。
OMソーラー協会のパンフで存在を知り、ウェブサイトを見て、「ここは最も進んだ工務店だ」と思った。

国産材を使った家作りをしているというのもあるけれど、「最も進んだ」と思うのは、「地域密着。真のコミュニケーション」に尽きると思う。
まず、本社にエコショップという、これはOMソーラー協会が全国の加盟工務店内への設置を進めているものだが、自然素材のよさや解説があるものを置いている。
そして、喫茶店や雑貨屋もあり、部分的な家でなく、全体的なコンセプト、暮らしの提案をしている。地域のNPO活動にも参加していて、そういうつながりなどから毎年会社が主催する感謝祭には、600人以上の地域住民が参加するという。

こうした記事を読んで、これは聞きに行かなければ、、と確信した。
こういう、本質を追求しているところで地域材は売られるようにならなければ、林業に生き残る道はないだろうと思うからである。

メールでアポをとった直後、確認の電話が鳴る。
これは、上の方と会えるのだなと思ったら、そう、社長とお話できた。

とにかく、感じたのは、「未来への強い意志」である。

例えば、情報をオープンにし、お客さんの要望をどこまでも聞く、ということを、普通の工務店は避ける。なぜなら、クレームを恐れるからである。
「~してほしい」ということ、「~と考えていたのに、~だった」ということを一つ一つ聞いていけば、費用はかさむが、それで売り上げが伸びるわけではない。

地域密着とうのも、今となってはこれを標榜しない会社の方が少ないくらいだが、本当に取り組んでいるところは少ない。
吉瀬さんは、自ら地域の環境活動(リサイクルなど)を行うNPOの役員を務めたり、地元の子供にバスケットボールを教えたりしている。あるいは、地域の雑誌やCATVへの協力など文字通り実践している。

また、国産無垢材を100%利用するというのも、同じ文脈で説明できる。
国産の供給体制は未整備なため、規格化された輸入集成材を使ったほうが楽である。そして、どちらもぱっと見では同じ木材に見える。
(別に集成材を否定しているわけではなく、ここでは無垢材を扱うのは何かと面倒だ。ということ)

これらに共通しているのは、短期的にはまずしたくない躊躇してしまうことばかりということである。お客さんに突っ込んでいかなければ、避けて避ければ、追加の要望は聞かなくて済ませることはできるし、地域活動なんてしている企業人の方が珍しいし、木材でも外材の方が扱いやすい。

では、なぜわざわざ実践するのか、あるいは、実践できるのか。。

真のコミュニケーションをしなければ、信頼を得られないということ。それほど大きくない工務店では特に、地域に受け入れられなければ商売はできないということ。これからは日本の森林を整備していかなければならないということ。
これらを実践しなければ、長期的には生き残れないと確信し、強い意志を持って、その理念に向かって進んでいるのである。

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一方で、そこには矛盾を多く内在している、という話も何度も出てきた。
国産材の生産性を向上させれば、必然的に人件費削減に向かい、林業労働者は減る。とか、いくら地域貢献は必要とはいえ、本業あってのもの。しばらく、バスケットボールの指導は休むなど。。

こうした話を聞くほど、この人の語ることが響いてくる。
世の中は矛盾している。時に理不尽である。これは、大前提だと思う。
だから、全てを言い切ってしまう人は必ずどこかでうそをついている。
言い切ってしまえることなど、この世の中には言い切ってしまえることなどない、ということくらいなものだろう。

それでも!
未来を志向するのである。

雑誌住まいの空気まわり(PDF)の記事の中で、月の受注が0の時毎晩、夢でもうなされていたが、あるときから「自分達のしていることに関心をもってくれ、信頼してくれる人のために仕事をすればいい」と考えるようになり、以後ふんぎりがついて進んできたという。
来年から、新卒も採るというお話。

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 危機が人を創り 人が歴史を創る
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コアーのような工務店が集まって、国産材利用を推進する全国組織
地球の会が昨年から発足した。

コアー建築工房はぴか一だと思ったが、その吉瀬さんにとっても、とてもかなわない人たちが、あるいは会社が役員をしているという。
世の中は、広く、上には上がいるのだ。。

条件が悪いとか、だれそれが悪いとか、時代とか消費者が悪いなどと言って逃げず、それでも国産材を普及させるんだという強い意思をもった主体がいない限り、国産材利用を広がりえない。研究対象として、そうした主体を探していた。

ついに見つけた。
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by taiji_nakao | 2006-06-02 16:08 | ひと
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