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2006年 10月 11日
終電とサラリーマン(未)
スーツを着て京都駅に帰ってきた日、なんだか気分も晴れず、もう一度ご飯を食べ、立ち読みをして、バスに乗って帰ると思いきや、四条で降りて、マンガ喫茶に行く。

それは地下にあって、かなり綺麗なところ。豪勢なかんじがする。
地下に下って自動ドアをくぐると、その奥にある、手で押すタイプの扉が、気圧の関係なのだろう、ふわ~んと揺れるのをみて、なんだかいっそうゴウセイに思えた。

別にこれといって、読みたいのがあるわけでもないのだけど。
0時を過ぎた頃、ヤケな気分で、京阪の終電も逃してもどうせ歩いて帰れるさ、などと考える(というより、思考停止)あたり、病んでいる。

でも、やはりと、0時22分ごろ、店を出て京阪三条に向かう。

途中から走る。
この時間帯にまだあることは知ってるけど、走ってしまう。
地下へいく階段の電気が明るいのを見て安心する。
でも、やっぱり走って階段を下ると、

「ヨドか!」
「ヨドかい!」
「ヨド行き!?」

と、京阪の従業員の声がする。
若い、はきはきした声で。
その声は動きがあって、幾つかの方向から、同時に進行して聞こえた。

ヨド行くんだったら、急げ、こっちから通せる、切符やらなんてなんとでもなる、終電が今発車しようとしてるけど、止められるし大丈夫だ。お客さん、よかったなあ、家帰れるよ。

ほんの一瞬、くたびれたスーツを着た男は、そんな空気に包み込まれた。

すぐ、
「いや、デマチです」
と応えると、通路わきのパイプ椅子から半分立ちかけた従業員が、何もなかったかのように座る気配が感じられた。
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by taiji_nakao | 2006-10-11 22:22 | エッセイ
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