カテゴリ:学習する組織( 2 )
2011年 01月 16日
システム思考
システム指向に関する著書「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い」を読了。

2年ほど前に、共著の小田 理一郎氏のセミナーを受講したことがあって、先日たまたま図書館でみつけた。なんとなく、システム指向の勉強がしたいなと思っていて、それほど所蔵が多いわけではない(失礼!)江坂図書館で見つけたのはそういうタイミングだと思った。

システム指向の考え方はその通りと思います。

自分を責めない、他人や状況を責めない。問題があるなら、その問題やパターンを生み出している構造を見つけること。構造に働きかけて、構造を変えることができれば、人格や性格を変えなくても問題は解決する。

システム指向の考え方は、組織やあるいは人を取り巻く環境を「システム」と捉える。
システムは、様々な要因が影響を与え合って成立していることをまず理解する。
そして、システムは動的であり時間軸をもっている。
もし、自分がその状態を変えたいと思うとき、望むシステムに変化していくために、重要な要素に働きかける。最も効果的なポイント=レバレッジ・ポイントを見いだすことが重要。

でも、私たちは直接的でわかりやすい因果関係に解決策を求めがちである。
これではかえって状況を悪化させてしまうことが多い。

副作用について
「私たちはよく『副作用』というものを社会の現実のように受けとめます。しかし、現実は、『副作用』があるのではなく、『作用』があるだけです。私たちが行動を起こすと、さまざまな作用が生じます。予測される作用や役に立つ作用を、主たる作用、意図する作用と呼びます。予測していなかった作用や、自分たちのねらいを弱めたり、システムそのものに悪影響を与える作用を、『副作用』と読んでいるだけなのです。『副作用』とは、私たちのシステムに関する理解の限界や結果を表しているにすぎません。」

システムには、「システム原型」と様々なシステムによく現れるパターンがある。
その中の、「エスカレート」についての例はわかりやすかった。
居酒屋のしゃべり声はなぜ大きいーものごとはエスカレートする

どこかのグループの声が大きくなると、まわりのグループもつい(競っているわけではないですが)声が大きくなってきます。そうしないと、自分たちの会話ができなくなるからです。
かくして、居酒屋を出るころにはなぜだかみんなしてのどがかれてしまった・・こんな経験をしたことがあったなら、「エスカレート」の原型を身をもって経験したことがあるといえるましょう。

レバレッジ・ポイントを意識することの効用
一見遠くにあるかもしれないけど、解決に繋がる働きかけはないか?と見方を広げて考えることができます。

働きかけ
望ましいループを作り出す
望ましいループを強める
望ましくないループを断つ
望ましくないループを弱める

自分自身を見つめる際にも有効。
システム思考は、「自分を責めない」アプローチですし、時系列変化パターングラフにしてもループ図にしても、自分の癖やパターンを自分から「取り出して」描くことができるため、感情的にならずに冷静に「なぜだろう?」と自分との対話を深めていくことができます。そのおため、新しい視点や洞察を生み出していくことができるのです。

よくなる前に悪くなる
「評価までの時間」が短いと 中略 「この取組みは成果を出すどころか、悪化しており、大失敗である」と判断され、切り捨てられてしまうことでしょう。

その他
システム思考のツールは、組織のコミュニケーションにとって有用であり、とりわけ能力の向上に大きな力を発揮します。そして、全体像を把握して複雑なシステムの構造を理解することは、組織の一人一人に大きな力を与えてくれるのです。

理性のループだけでなく、感情のループも考えてみる

リーダーは船長でなく設計者

仕事や人生に役立つ「システム思考七ヶ条」
1 人や状況を責めない、自分を責めない
2 できことでなく、パターンを見る
3 「このままパターン」と「望むパターン」のギャップを見る
4 パターンを引き起こしている構造(ループ)を見る
5 目の前だけではなく、全体像とつながりを見る
6 働きかけるポイントをいくつも考える
7 システムの力を利用する

システム思考は、「ちょっと待てよ」といってくれるアプローチです。目の前の問題や解決策くに飛びつくのではなく、「ちょっと待てよ。いま見えていないものも含め、全体の構造はどうなっているのだろう?」
「ちょっと待てよ。これをやると、こちらの想定している以外の影響が出てくる可能性はないだろうか?」
ーそんなことをシステマティックに考えさせてくれるアプローチなのです。

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by taiji_nakao | 2011-01-16 00:20 | 学習する組織
2009年 05月 23日
OST(オープン・ソース・テクノロジー)
場とつながりラボ home's viのお結び庵で借りてきて読む。

ミーティング手法というのだろうか。
考案者のハリソン・オーエンという人は、250人が参加するある国際会議の準備をして開催した。丸一年かけて準備し、内容はまずまずだった。だけど、参加者の意見は一致していた。
内容はまずまずだった。だが、もっとも良かったのはカフェの時間だったと。

この感想はわかる気がする。
長時間にわたる講演やパネルディスカッションは確かに、知的であり勉強になり、刺激にもなるけれど、こういうカンファレンスではいろいろな人と話せるのが一番の魅力だろう。

で、ハリソン氏のすごいところは、
「ならば、会議の企画そのものをカフェの時間のようなものに出来ないか」
と考えた。そうしてOSTという手法が開発されたという。

やり方は非常にシンプルで、参加者がその場で興味のあるテーマを出す。
25~50人なら30個程度、100~200人で75個程度のテーマが出てくるものだという。

出てきたテーマの中で、自分が興味のあるテーマのセッションに参加する。
セッションに参加する人は、途中で違うと思えば移動する。
移動はむしろ歓迎される。
もっとも自分が興味をもち、コミットできるテーマに参加することが求められる。

そうやって進行する。
ファシリテーターは基本的に何もしない。

4つの原理
・ここにやってきた人は誰でも適任者である。
・何が起ころうと、起こるべきことが起きる。
・それがいつ始まろうと、始まったときが適切なときである。
・それが終わった時が、本当に終わりなのである。

1つの法則
主体的移動の法則

参加者を信頼し、今そこに起こっていることを認め、受け入れる。
ファシリテーターは、何かをするというより、その場に安心感を与える存在であることが最も重要だという。

そういう場を創ることに専念する。

コントロールしない。
参加者がコミットしたいと思っていることを話してもらう。
いくら正しくても、コミットする人がいなければ、それはなされない。
という考え方である。

ちょっと考えてみれば、500人とか1000人とかいう人数をすべてコントロールしようとしたら、いかに大変かはわかる。
しかも、それぞれが情熱と知識を発揮できるような会議を設計しようとしたら、気が遠くなる。
それで、成功するかどうかも怪しい。
ならば、それを中央で管理するということ自体に無理があるのではないかというわけだ。

**

新型インフルエンザの対応で、国がグダグダしているから、それで現場が現実的な対応していくっていうのは、それはそれでありなのではないかというレジデント初期研修用資料さんの「グダグダ」駆動型の問題解決手法はなるほどなあ。
と思った。

そして、この考え方の根底にあるのは、まさに、はOSTや学習する組織といった考え方の根底にあるもの、現場の人・情熱を持つ人がその自発的にその問題に取り組む、という考え方と同じだと思う。

ただ違うのは、OSTや学習する組織では、そういう状況を創りだすのがマネジメントの役割である、と考えることである。

今までコントロールしてきた人がそれを手放す、というのはなかなか大変なことらしいが、
組織のパラダイムシフトは確実に進行していくと思う。
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by taiji_nakao | 2009-05-23 14:07 | 学習する組織